ウィスキーマン男はつらいよ

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人生山河険しくも酒

 フリーでいると決めて一年経つ。給料を貰っていたときより金銭感覚がシビアになり年金のはがきが来て払いすぎがあるから還付するというので少し喜んだ。

 夕食時は近所のスーパーに行く。子供のころから食事はスーパーの惣菜だが、ウィスキーに合うものが分からずそれで悩む。今は酒代も節約でスーパーのプライベートブランドを飲んでいる。

 プライベートブランドというと聞くだけで眉をひそめる人もいるが酒類に関しては私はそれほど酷いとは思わない。

 売れ筋や銘酒に似せるなどして喉を通すものにしようとしていてビジネスマンたちの男臭いこだわりを感じる。

 業務スーパーの「菊川」は他の清酒と比べたら驚くほどの低価にして美味い。

 かつてバブル期に乱造された安酒は本当にまずかったが、これは提携先の老舗の酒造が作っているだというのでさすがだと思う。

 最近イオンのウィスキーのスクリューキャップを開けたとき「やたら甘ったるい」と香が酷評されていたが、スコッチの「シーバス・リーガル」に似ていた。もちろんウィスキーのプロに通用しないが私素人には問題ない。口に含めると風味は消えてしまうがそれもオンザロックには関係ない。

 惣菜を並べて一杯やりながら気のむいた映画を観て終わりのほうで残ったおかずをかき込んでウィスキーで流し込んだ。

 もう若くないよと誰かの声がする。