ウィスキーマン男はつらいよ

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「グランブルー」(Le Grand Blue)

お題「最近見た映画」

 

ジャック・マイヨール、彼は海の中で癒される

 

主人公の登場シーンが圧巻だった。

 イントロの舞台が一転して地中海からペルー・アンデス山脈。山中の凍結湖に落下した車両の調査に来た保険調査員ヒロインが到着早々あまりの寒さにあたふたと学者隊の基地に駆け込む。

 基地の扉が開いたとき巨大なゴーグルをかけた赤と白のウェットスーツの男がサックスとともにゆっくりと画面いっぱいに現れる、二人はすれ違うとき一瞬見つめ合うが男はそのままヒロインの横を行ってしまいヒロインは目が離せず放心したように後姿を見送る。

 そのあと何事もなかったかのように話しかけてくる博士の助手に事務所で思わず「ゴーグルの男を見た?」と確認するヒロイン。まったくこの登場シーンは衝撃的であの瞬間確かに彼が人間以外のものに見えた。これ以上はないインパクトで彼が超人的にさえ見える演出である。

 そのあと物語は主人公ジャック・マイヨールがライバルに促され出場するフリーダイビング大会を舞台に進んでいく。2歳年上のライバルのエンゾは幼馴染にして子供の頃からのガキ大将。強引だが陽気で面倒見の良いエンゾはジャックのライバルだがときとして兄であり父親でもある。

 物語は楽しく陽気に展開するがフリーダイビング世界記録の更新合戦がジャックとエンゾの一騎打ちになってくるあたりで、葛藤するジャックの複雑な心理が浮き彫りになってくる。ジャックはすっかりエンゾに憧れていてエンゾの調子が悪いとジャックも機嫌が悪くなるほど。内心エンゾを負かしたくはないのだが、こよなく海を愛するエンゾは誰が相手だろうと危険を冒してでも勝ちに行く。深海で行うフリーダイビングでの事故は命に関わるがそれでも制止を振り切って記録を更新していくエンゾとエンゾに対する不安と葛藤に悩むジャック。